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糸のお話

糸のお話

糸のお話 ~冬のあったか靴下~

 

あたたかい靴下は、糸の設計から始まる

 ——商品価値を左右する見えない部分の話

 「あたたかい靴下を作りたい」

これは、OEMの相談で非常によく聞く要望のひとつだ。ブランド立ち上げを考えている企業様からも、既存事業の新商品として靴下を検討している会社からも、同じ言葉が出てくる。しかし、そのあたたかさが何によって決まるのかを、具体的に言語化できているケースは意外と少ない。

 多くの場合、ウールやカシミヤといった素材名が先に挙がる。もちろん素材は重要だが、実際の履き心地や体感温度を大きく左右しているのは、糸の設計である。

靴下は、生地ではなく糸の集合体だ。一本一本の糸の太さ、撚り、構造、組み合わせ方が、そのまま商品としての性能になる。

 「あたたかさ」は空気をどう扱うかで決まる

 糸の話をするうえで、まず理解しておきたいのが、あたたかさの正体は「熱を生むこと」ではなく、「熱を逃がさないこと」だという点だ。

その鍵を握るのが、糸と糸の間に含まれる空気層である。

 たとえば、同じ靴下でも、糸がふっくらしているものと、カチッと硬いものでは、履いた瞬間の印象が違う。これは、糸の中にどれだけ空気を含められているかの差だ。

甘撚りの糸や、複数本を組み合わせた構造糸は、空気を多く抱え込みやすく、結果として保温性が高くなる。

 OEM生産において、ロットを抑えた小規模な企画であっても、糸の選び方ひとつで「あたたかい靴下」というコンセプトは十分に実現できる。

 素材よりも「糸の構造」を見る

 ウール靴下があたたかいと言われる理由は、繊維そのものが縮れている点にある。この縮れが、糸になっても空気層を保ちやすく、歩いたり体重がかかったりしても、完全につぶれにくい。

 一方で、化学繊維を使った靴下でも、糸の構造次第では十分な保温性を持たせることが可能だ。中空糸やバルキー加工糸など、糸の段階で空気を含む設計がされていれば、素材名だけでは判断できないあたたかさが生まれる。

 商品企画の段階で、「素材比率」だけを見るのではなく、「どんな糸を、どこに使うか」まで踏み込めるかどうか。そこに、ブランドとしての姿勢が表れる。

 薄くてもあたたかい靴下は作れる

 お客様からの相談で多いのが、「分厚くないのにあたたかい靴下を作りたい」という要望だ。

これは決して無理な話ではない。鍵になるのは、糸の配置と編み設計である。

 たとえば、肌に触れる側に吸湿性の高い糸を使い、外側に空気を逃がしにくい構造を持たせる。あるいは、細い糸を複数本組み合わせて、編み密度を高める。

こうした設計は、見た目にはわかりにくいが、履いた瞬間の印象を大きく左右する。

 OEM生産の場合でも、こうした工夫を重ねることで、オリジナル性の高い靴下商品を提供することができる。

OEMは「考える工程」まで含めて価値になる

 OEMというと、生産だけを請け負うイメージを持たれがちだ。しかし、本当に価値が出るのは、企画やコンセプト設計の段階から関わるケースだ。

 誰に向けた靴下なのか。

どんなシーンで履かれるのか。

室内なのか、屋外なのか。

ギフトなのか、日常使いなのか。

 こうした条件によって、最適な糸の選択は変わる。企業様やブランドごとに異なる要望を整理し、形に落とし込むことが、OEM事業としての役割だ。

 これまでの実績の中でも、「糸の話を丁寧にしたことで、商品への納得感が高まった」という声は多い。

 見えない部分にこそ、ブランドは宿る

 あたたかい靴下とは、単なる防寒具ではない。それは、作り手の思想や、会社として何を提供したいのかという姿勢が、糸を通して表現されたものだ。

 デザインやパッケージは目に見える。しかし、履いたときに感じるぬくもりや快適さは、糸という見えない部分が支えている。

だからこそ、靴下づくりを考える際には、まず糸に目を向けてほしい。

 もし、「どんな糸を選べばいいかわからない」「コンセプトの整理から相談したい」という段階であれば、問い合わせは早いほどいい。

小さな企画でも、丁寧に考えられた糸から生まれた靴下は、確実に人の記憶に残る商品になる。

 あたたかさは、糸から始まる。

それは、靴下づくりにおける、最も静かで、最も重要な事実なのだ。

 糸は「数字」ではなく「感覚」を設計するもの

 糸を選ぶとき、仕様書には番手や混率、撚り数といった数字が並ぶ。OEM生産に慣れていないお客様ほど、こうした数値を見て判断しようとするが、実際の靴下商品において重要なのは、その数字がどんな感覚に変換されるかだ。

 同じ番手でも、撚りの方向や回数が違えば、触感も、膨らみも、あたたかさも変わる。

糸は、デザインの一部であり、同時に体感温度を決める装置でもある。

 企業として靴下事業に取り組む場合、ここを理解しているかどうかで、最終的な商品の完成度は大きく変る。糸の話は専門的に聞こえるが、本質は「履いた人がどう感じるか」という、極めてシンプルな問いに集約される。

 ロットと糸設計の関係

 小ロットOEMでは、「選べる糸が限られるのではないか」という相談を受けることが多い。確かに、大量生産向けの特殊糸を使うのは難しい場合もある。しかし、既存の糸の組み合わせや撚り設計を工夫することで、十分にオリジナル性のある靴下は作れる。

 重要なのは、ゼロから特別な糸を作ることではない。

どの糸を、どう使うかという企画力だ。

 これまでの実績でも、小ロットでスタートしたブランドが、糸設計の工夫によって「他と違うあたたかさ」を評価され、継続的な生産につながったケースは少なくない。

 あたたかさと耐久性は両立できる

 あたたかい靴下を目指すと、どうしても「柔らかさ」や「膨らみ」を優先しがちになる。しかし、日常使いの商品として提供する以上、耐久性も無視できない。

 ここでも、糸の構造が効いてくる。

芯に強度のある糸を使い、その周囲を保温性の高い繊維で包むカバーリング糸は、あたたかさと耐久性を両立しやすい。

見た目にはわからないが、こうした設計があることで、洗濯を重ねても履き心地が大きく変わらない靴下になる。

 ブランドとして信頼を積み重ねるには、こうした「長く使えるあたたかさ」が欠かせない。

 糸を語れることは、ブランドの強みになる 

近年、消費者は商品背景に敏感だ。

「なぜこの靴下はあたたかいのか」を、糸の話として説明できることは、企業やブランドにとって大きな武器になる。

 素材名ではなく、糸の構造や考え方として語ることで、価格ではなく価値で選ばれる商品になる。

そのためにも、OEMパートナーとの相談段階で、糸についての対話を重ねることが重要だ。

 あたたかい靴下は、偶然では生まれない。

企画と設計、そして糸への理解が重なったとき、はじめて「選ばれる商品」になる。

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